前回の記事(第8話)
オームの法則すら怪しいところから、電工の学科試験に合格した話です。
▶ オームの法則すら怪しかった。電工学科への挑戦 | 未経験からITへの挑戦と現実
そして今回は、その続きです。
休む間もなく
電工学科に合格した日。 ゆっくりできたのは、その日だけだった。
翌日には、もう新しい参考書を開いていた。 ちょうど学校でも、工事担任者 第一級デジタル通信の授業がスタートするタイミングだった。
試験まで残り2か月。 基礎、技術、法規。 3科目ある。
1月末には電気通信主任技術者(伝送交換)が控えている。 こっちが本当の難関で、3科目一発合格はまず無理だと思っていた。
ただ、工事担任者に合格していれば、電気通信主任の電気通信システムという科目が1つ免除になる。 3科目を2科目にできる。
だから工事担任者は、絶対に落とせなかった。 マストの合格だ。
電工をCBTで最短合格できたおかげで、この2か月を確保できていた。
計算問題という、新たな壁
授業は2つに分かれていた。 技術と法規の授業、そして基礎の授業。
技術と法規は何となく難しいけど、いけそうな気がしていた。
問題は基礎科目だった。 計算問題がメインの科目。
聞いたことのない単語が出てくる。 よくわからない計算式が出てくる。
最初の1週間は、本当に受かるのか自信がなかった。 それでもここで諦めるわけにはいかない。
ここで落ちたら、電気通信主任も共倒れになる。
必死に踏ん張った。
授業で使っていたのは白本だった。
▶ 工事担任者 第一級デジタル通信、僕が使っていたテキストはこちら
技術の授業はその白本と過去問を織り交ぜながら進んでいった。 基礎の授業は白本をベースに、計算式を教えてくれた。
高校は商業で、数学なんてろくに勉強していない。 電工も過去問ベースで覚えていたから、わかるのはオームの法則の使い方くらい。
工事担任者の計算問題は、自分の中では猛烈に難しかった。
K先生と、ニッチな5人
基礎科目を担当していたのは、電工の時にもお世話になったK先生だった。
ただ、数学が好きすぎる人だ。 説明が、自分にはちょっと難しい。 本当に何を言っているかわからない授業もあった。
休み時間や放課後に時間をもらって、色々教えてもらった。
工事担任者はニッチな資格だ。 クラス15人の中で、受けるのは5人くらいだった。
その5人で、お互いの得意分野を教え合った。 必死に高め合った。
家ではYouTubeの解説動画を繰り返し見た。 最初は大げさじゃなく、1問解くのに1時間も2時間もかかった。 いくら考えてもわからず、飛ばした問題もあった。
本当にわからないものは、諦めて飛ばす。 時間がもったいない。 違う問題を解くことで気づくこともあるし、振り返るとわかったりもする。
1ミリも分からなかった問題が、解けるようになった
最初は1ミリもわからなかった問題が、案外簡単なのかと思える問題に変わっていった。 そのあたりから、結構楽になった。
あとは覚えるだけ。 公式も自分なりに、簡単な形で覚えていった。
ちゃんと数学を勉強したのは、これが初めてかもしれない。 最初は嫌だった数学が、少しだけ面白くなってきた。
解き方は何種類もある。 自分なりの答えを出せる。
全部選択問題だった。 K先生は消去法まで教えてくれた。
試験2週間前には、過去問10年分をほぼ制覇した。
基礎も技術も法規も、9割以上取れるようになっていた。
K先生の授業も、ある程度聞き取れるようになっていた。
とりあえず工事担任者はいけるだろう。 そう思って、1月末の電気通信主任の過去問にも少し手をつけ始めた。
工担に受かれば1科目免除。残るのは2科目だけだ。
工事担任者の勉強をしながら、電気通信主任にも気持ち程度手をつける。 二毛作が始まった。
前日、早く寝た
工事担任者試験の前日。 学校では午前も午後も、過去問を解く時間に当ててくれた。
10年分近くを解いて、ほぼ満点だった。 自信があった。
先生も「過去問が取れていれば大丈夫」と言っていた。 同級生もほぼ取れていた。
先生から激励の言葉をもらって、家に帰った。
その日は、勉強せずに寝た。 今さら何をしても一緒だ。 2か月、必死に頑張った。 頭には入っている。
最初は訳がわからなかった計算問題も、今なら迷わず解ける。
試験に向けて、早めに布団に入った。
初めての国家試験会場へ
試験は昼からだった。 朝早く起きて、バナナを食べて、散歩でリフレッシュした。
会場は吹田にある大学。 電車で1時間くらいかかる、結構遠い場所だった。
国家資格の試験を受けるのは、これが初めてだった。 CCNAもLinuCも、電工の学科もCBTだったから、試験会場に向かうこと自体が初めての経験だった。
会場の雰囲気に、少し圧倒されそうになった。 広い部屋に、たくさんの人。
席に着いた。 一番前だった。
そこに、「リスさん」と自分の名前を呼ぶ声がした。 振り返ると、後ろの席に学校の同級生がいた。 ホッとした。
もう一人、「リスさん」と名前を呼ばれた。 さらに後ろの席にも、同級生がいた。
これだけたくさんの人がいる中で、受験する5人のうち3人が集まった。 心強かった。
試験5分前。 トイレを済ませ、水を飲んで、準備を整えた。
周りはみんな参考書を開いていた。 自分は、何も見なかった。 それくらいの自信があった。
自信が、一瞬で消えた
試験が始まった。 まずは基礎から。
すらすら解けた。 計算問題も、すらすらいける。 いける、いけるぞという気持ちで進んだ。
わからない新傾向の問題も数問あったが、K先生流の消去法で2択まで絞れた。 おそらく合格している。
見直しまで終えて、技術に進んだ。
技術はほぼ計算がない科目だ。 自信があった。
1問目、わからない。 2問目も、わからない。
頭が真っ白になった。 予想外の展開だった。 知っている問題も確かにあるが、見たことのない問題が多い。
焦った。 自信があった分、余計に焦った。
最後まで解いて、見直して、法規に進んだ。
解いている途中、同級生が1人、また1人と席を立って退出していった。 めっちゃ早いな、と思った。 さすがだ。
自分は自分だ。 そう思いながら、法規を最後まで解いた。 法規はほぼ解けた手応えがあった。
基礎、技術、法規。 最後まで見直して、退出した。
技術の手応えのなさが、想像以上に堪えた。
自信のある問題だけ数えると、6割を切っていた。 6割が合格点だ。
わからなかった問題のいくつかが当たっていないと、厳しい。
王将のビールと、答え合わせの日
考え出すときりがない。 一旦考えるのをやめることにした。
帰りは王将に寄った。 餃子、ラーメン、から揚げ、そしてビール。
最高にうまかった。 合格かどうかはまだわからない。 それでも、やりきった達成感があった。
正答発表は2、3週間後。 ちょうど授業を受けているタイミングだった。
受験した5人全員で、1問ずつ答え合わせをしていった。
計算問題の多い基礎は8割で合格。 法規も8割で合格。
問題の技術は、6.5割。 合格点はギリギリ超えていた。
耐えた。
あくまで自己採点だ。 それでも、ほぼ受かっているという事実が、たまらなく嬉しかった。
そして合格発表。 無事、合格していた。
残りの4人も、全員合格。 5人全員で、合格を分かち合った。
K先生にも、同級生にも、ありがとうという気持ちだった。
目標にしていた6つの資格のうち、2つ目だった。
CCNAもLinuCも、ベンダー資格。 工事担任者は、初めて取った国家資格だった。
オームの法則すら怪しかった自分が、また一つ資格を積み上げることができた。 その日の夜は、ビールを飲んだ。
ただ、浮かれていられたのもそこまでだった。 電工の実技試験まで、もう半月もなかった。
次回:電気工事士 実技試験。まさかの問題が出た話。
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