前回の記事(第4話)
CCNAの学習が本格的に始まり、気づけば昼休みも放課後も実機を触るようになっていました。
▶未経験がCCNA取得を目指して、昼休みも放課後もネットワーク機器を触り続けた話 | 未経験からITへの挑戦と現実
今回はその続きです。
企業説明会がやってきた。
まさかその後の面接が、自分の覚悟を変えることになるとは、この時はまだ思っていませんでした。
企業説明会、週1回のスーツ登校
4月に職業訓練校へ入所して、5〜6月頃になると企業説明会が来るようになった。
週1回くらいのペースで、合計で7〜8社が来てくれた。
説明会の日はスーツで登校する決まりで、いつもと違う空気が学校全体に漂っていた。
みんな就職したくてここに来ている。企業の人と直接話せる貴重な場だから、自然とスーツもきっちり決めるし、多少の緊張感もある。
企業の人が資料やパワポを使って自社のプレゼンをしてくれて、質疑応答も含めると午前中まるごと使うような時間だった。
ぶっちゃけ「授業がない!ラッキー」とも思っていたけど(笑)、質疑応答はみんな本気だった。
やっぱり気になるのはお金のことで、賃金の質問が一番多かったです。あとは休日や転勤、やりがいについての質問も多かったイメージです。
卒業生が実際に来てくれる会社もあって、リアルな話が聞けるのが良かった。
先生イチ押しのISPに応募することにした
来てくれた会社の中で、自分が気になったのが地域密着型のISP(インターネットサービスプロバイダ)だった。
- 家から自転車で15分と近い
- ネットワークやサーバー業務もあると説明があった
- 地域貢献をしている安定企業
- 何より先生がごり押ししていた
- 毎年学校のエリートが受けて内定をもらっている(落ちる人もいる)
- 就活のスケジュールが6月と早く、早めに決めたかった
当時の私は、SESよりも自社でネットワークやサーバーを運営しているISPの方が魅力的に見えていた。
CCNAの勉強はまだ序盤も序盤。「自分みたいな元港湾作業員が受かるのか」という不安はあったけど、とりあえず受けてみることにした。
実はこの会社は、同期2人も一緒に受けることになった。20代前半の子と、自分と同い年の子だった。
一緒に働けるかもしれないと思うと、少し楽しみでもあった。
1次面接、2次面接
6月の説明会を経て、7月前半に1次面接、後半に2次面接という流れだった。
1次面接は実際に一緒に働く部署のリーダーと部長の2人。しばらくしてメールが届いた。通過だった。
ただ、2人の同期は1次で落ちていた。一緒に働けるかもと思っていたので、素直に喜べない複雑な気持ちもあった。
でも自分は前に進むしかない。「頑張ってね」と言ってくれた2人の言葉を受け取って、2次面接に臨んだ。
2次面接は社長と役員全員、合わせて6人くらいがずらっと並んでいた。港湾で12年働いてきたけど、6人の前で面接なんてしたことがない。
ビジネスマナーも礼儀もろくに知らない自分が頼れるのは「とにかく大きい声で行こう」ということだけだった。
開口一番、役員の一人に言われた。
「君、声大きいね。目が覚めたよ。今までの志願者は声が小さかったけど、君が一番だよ」
笑いながらそう言ってくれた。「いけるかもしれない」と思った瞬間だった。
「全部取るってことですね?」
面接の雰囲気は良かった。が、ここで事件が起きた。
社長から資格についての質問が来た。
「今はCCNAを目指しています。他の資格も考えています」と答えると、工事担任者(第一級デジタル通信)や第一級陸上特殊無線技士は?と聞かれた。
取るつもりなんてなかった。でもとっさに「はい、その辺も取得する方向で考えています」と口が動いた。
さらに社長は続けた。「電気通信主任技術者(伝送交換)は取るのか?」
頭の中で一瞬だけ思った。
(あぁ、あの難関資格のことか。さすがに厳しいだろ。そもそも学校のカリキュラムにも入ってないし……)
でも口から出たのは「一応、そちらも取ろうと考えています」だった。
そして社長は最後にダメ押しするように聞いた。
「では、学校で取得できる資格はすべて取るということですね?」
もう後には引けなかった。
「ハイ、その予定です。」
とっさの判断だった。マイナスなことは言いたくなかったし、言い切った方がプラスになると思った。後悔はなかった。
ただ、その言葉は確かに自分の口から出ていた。
内定。そして現実を見た
面接後、数日でメールが届いた。内定だった。
休憩時間にすぐ、当時付き合っていた今の妻にメールを送った。結婚も考えていた時期で、ずっと応援してくれていたから。
翌日学校の仲間にも伝えると、みんなが「すごいやん、おめでとう」と言ってくれた。先生が口を酸っぱくして「あのISPに行く人はすごいことなんだ」と言い続けていたから、みんなその重みをわかってくれていた。
素直にうれしかった。
でも次の瞬間、頭が切り替わった。
あの面接で言ったこと、全部やらないといけない。
ちなみにこのISPは、内定後も翌年4月まで職業訓練校で勉強を続けてから入社という形だった。すぐ入社する企業もある中で、ここは最後までしっかり学び切ってから、というスタンスだった。
3月まで働かずに勉強だけに集中できる。それはありがたかった。でも、だからこそ「残りの期間で全部取り切る」というプレッシャーも同時にのしかかってきた。
全資格のスケジュールを調べた。
- 8月:CCNA(最優先)
- 9月:第二種電気工事士(学科・CBT)
- 11月:工事担任者(第一級デジタル通信)
- 12月:第二種電気工事士(実技)
- 1月:電気通信主任技術者(伝送交換)
- 2月:第一級陸上特殊無線技士
- 余裕があれば:基本情報技術者試験
こうして並べてみると、基本情報まで含めれば、合計6つの資格に挑戦することになっていた。
試しに、工事担任者・電気通信主任・第一級陸上特殊無線技士の過去問を開いてみた。
商業科出身で、高校数学もろくにわかっていない自分には、何が書いてあるのかすら理解できなかった。数式、見たことのない専門用語、意味のわからない問題文。
ページを開いた瞬間に絶望した記憶がある。
……冷静に見ても、無理だった。
でも今すぐ考えても仕方がない。まずはCCNAを取る。それだけを考えることにした。
でも不思議と、わくわくしていた。
自分で勉強して資格を取っていく。
内定も出ていて、3月までは勉強だけに集中できる。
これからが楽しみでしかなかった。
内定が出たその日、Ping-tを開いた。
この日から最後の資格試験まで、残り半年と少し。
ここから、自分でも無謀だと思う挑戦が始まった。
次回の記事(第6話)
内定が出たその日から、
CCNAだけを考える毎日になりました。
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